[いつまでもあると思うな]

ストックしていたFOMA FOMAPAN ISO400を開封しパトローネに詰めた。

36枚撮りがギリギリ18本とれる。

この長巻は、チェコ共和国 ノースボヘミアンシティのフラデツ・クラーロヴェーでフィルムを製造しているフォマ社の商品だ。

ヨドバシカメラでも長巻フィルムが店頭から消えた現在は、ネットを通して外国製品を買うしかなくなってしまった。

富士フイルムが撤退したのは痛い・・・。

いつまでもあると思うな、モノクロフィルム。

だから無性に「今」フィルム写真を撮らないと・・・という欲求に駆られる。

2022/01/30


[背景のこと]

人物は描けるが背景が描けない。

背景が描ける人は漫画を目指し、描けない人はコミックイラストの方へ進むとも聞いた。

実際はどうなのか知らないが、そうかもしれない。

 

絵画の世界でもそれは当てはまるのではないか。

写実的な「美人画」は昔からあるが、最近またそういう絵画を見る機会が増えた。

漫画やコミックの世界と美術が近くなっていることが原因かもしれない。

ゲームやアニメの世界の影響から美術を志す若者も増えているから、絵画にアニメやコミックが反映するのも不思議ではない。

したがって、やはり背景の問題は生じるはずだ。

本当に描きたいのは人物だけだったりする。

 

彫刻の背景、という考え方は成り立つだろうか。

公園や街頭に立つヌード彫刻の作者は背景を意識して作っているのだろうか。

背景とはこの場合、彫刻を取り巻く環境のことである。

彼におそらくその意識はないだろう。

単にヌード塑像を作りたかっただけだ。

作ったのもが公衆の面前に引きずり出されただけに過ぎない。

 

背景とは何なのか。

それはおそらく矩形の意識から生まれた。

人物だけが描きたいのに、背景として白い余白が残る。

この余白の処理が問題となる。

それは絵画や写真の抱える問題だ。

彫刻はこの背景とは無縁に作業ができるから、つまり平面の問題として背景という概念が生まれたのだろう。

とはいえ、彫刻は背景とは関係を切れない。

常に環境がつきまとうからだ。

 

「借景」というものの見方が日本にはあって、これは背景が主人公である。

背景を借りる・・・背景こそが大事で、背景が無ければ成り立たない。

日本庭園における主たる庭は単なる素材で、実は背景の自然が重要だったりする。

こうした意識から生まれたのが「もの派」だと思っている。

背景を意識する美術として「もの派」の美術があった。

「場」と「もの」という相互関係を意識することで成り立つ美術の考え方である。

もの派の立体はいつも背景を意識している。

街のヌード彫刻と決定的に異なる点である。

 

矩形から背景が生まれたのなら、矩形を成り立たせているフレームに注目すべきであろう。

一般的にフレームとは絵画や版画の額のことだが、画用紙の持つ四角い形(輪郭)のことでもある。

背景を生む輪郭・・・その輪郭を意識することで絵画が始まる。

写真や映画も同様だ。

フレームの概念は先に述べたような理由から立体作品にも影響を及ぼすはずで、様々な造形美術の核となっているはずだ。

フレームは、知覚の範囲を定める輪郭である。

その輪郭のことが最近は気になっている。

工芸品には背景があるのだろうか。

その場合の輪郭はどうなっているのだろう。

2022/01/26


Dallmeyer Speed Anastigmat 15mm f1.5
Dallmeyer Speed Anastigmat 15mm f1.5

[原始写真]

上野彦馬 はダルメイヤー(Dallmeyer)製のレンズを使っていたそうだ。

1860年に創業したイギリスのレンズメーカーである。

ダルメイヤーと聞いただけでオタク心が反応してしまい、思い切った衝動買いをした。

それがよかったのか失敗だったのか、今もわからない。

微妙な存在だな・・・。

 

購入したのはシネレンズ、Dallmeyer Speed Anastigmat 15mm f1.5だ。

Cマウントなのでイメージサークルも小さく、マイクロフォーサーズカメラのスクエアサイズで撮っても四隅が けられる。

このレンズ自体はおそらく75年以上前の製造物だ。

後玉が曇っていたので取り外して磨くと見違えるほど美しくなった。

撮影してみたら軟調で画像は滲み、コントラストも弱い。

周辺に至るほど解像度も下がり、中心からシャープさがグラデーションのように崩れる。

それを面白い描写だと思えるときもあるし、ただの駄レンズと感じることもある。

 

四隅のケラレはこれくらい派手だとあんがい いい感じにも見えてくる。

原始写真の匂いがする。

原始写真・・・いま思いついた造語。

2022/01/16


[二分割を繰り返す]

このオレンジ色のポールを真ん中に、画面を二分割にした構図をよくやる。

電車を待つ間カメラで遊ぶからだ。

そう、このポールは最寄り駅のホームに立っている。

中望遠レンズで下方を狙ったらいつもとはちがう風景になった。

左右別の風景を切り取ってくっつけたような写真になった。

2022/01/15

[定点]

最近は公園に行くこともなくなったが、遊具をしみじみ眺めていてこの位置で足が止まった。

2022/01/14


[重なる]

タラの木二本が間を置いて重なっている様子。

春になるとタラの芽の季節になる。

タラという植物の名前は漢字でどう書くのだろう。

ちょっと調べてみた。

 

「タラ(楤、桵)」

タラノキ(楤木、桵木、学名、Aralia elata)はウコギ科の落葉低木。

新芽を「たらのめ(楤芽)」「タランボ」などと呼び、スプラウトとして食用に販売もされている。

テンプラ等に調理される。

「タラ(楤、桵)」と呼ばれることもある。


[アトムレンズ]

コニカのレンズはたいてい好きなのですが、一番好きなのはKONICA HEXANON 1:1.2 f=57mmです。

デジタルカメラに装着しているのに、フィルムでカラー写真を撮ったような雰囲気に写るのです。

この黄色っぽさは、アトムレンズのせいかもしれません。

しかし、正しい色合いやシャープさを求めるのではなく、ただただレンズと戯れるだけの僕にはいい遊び相手です。

f=1.2という明るさや被写界深度の浅さも素敵です。

なんでもない風景が愛おしい風景に変化する、そういうスパイスを持っているのです。

2022/01/02


[撮り初め]

存在を忘れていたこのレンズが年末の整理で出てきたので、新年最初に使うことにした。

COSINA AUTO FOCUS LENS AF 28-70 3.5-4.8 MC MACRO。

MF一眼レフカメラでのオートフォーカス撮影を可能とするレンズとして1980年代に発売されたレンズだ。

レンズ正面に「AF」と誇らしげに赤い太文字で印刷されている。

そういえば出始めのAFカメラにはたいてい「AF」という文字が印刷されていた。

ミノルタもニコンもキャノンも、オリンパスもペンタックスもみんな嬉しくてうれしくて、それからのAF合戦が始まるのだった。

そういう過渡期のレンズ。

普通のMFカメラにこれをつけると、なんとAFになるよ!というハードルの低さが売りだった。

そのレンズで2022年元日を撮った。

順光ならそこそこだが、逆光で撮影すると現代のレンズでは味わえない強烈なゴーストが出現する。

その派手さが、そりゃもう気持ちいい。

カメラの虫干し。

陽光射す・・・だな。

2022/01/01