Amazonでフィルムを見ていてその価格に驚いた。

前々から高騰しているのは知っているけど、24枚撮りモノクロフィルム1本が4,070円とはどういうことだろう。

冗談はよしこさん。

 

日ごろはフィート缶・長巻きフィルムを小分けして使っているので、単品売りのフィルム価格について無関心だった。

その長巻きフォルムも2倍3倍の価格高騰だから、気になって単品価格を調べたらそんな価格になっていた。

デジタルカメラが感光材料としてはほぼ0円だから、国民はデジタルに移行するのも当然だろう。

地球環境や経済効果を考えての結果なのだろうが、時代の推移に無常感さえ覚えてしまう。

 

危機感に煽られ、予備にKentmere Pan 100 黒白ネガフィルムのフィート缶をまた買ってしまった。

 残り一点の商品で14,240円。

 2023/06/21


3時の「3」が、曜日・日付表示のために削られている。

構造上この位置にしか配置できなかったのだろう。

ふたつの機能が同じ場所に重なる様子が、なんだかモランディ日蝕のようだ。

3を少し右にずらしたり表記しなかったりというデザイン上の配慮も可能なのだが、敢えて文字盤と文字を「削る」という暴挙にでた。

その選択に惹かれる。

2023/06/10


去年の夏は由布院に行った。

新しくできるホテルに何点かの写真作品を入れるという仕事を頂戴し、そのための撮影に行ったのだ。

由布院の風景を自分流に捉えるのだから、いつものカメラ遊びの気軽さで出かけた。

しかし、クライアントのある仕事となるとそうはいかない。

撮影を始めてすぐにそのことに気がついた。

商品としての普遍性を意識せざるを得なくなる。

 

もとより観光スポットには興味がないから普通の風景を見ることになるのだけれど、フツウというものは眼を凝らして眺めないとその良さを発見できない。

限られた時間を無駄にはできない、という焦りから毎日三万歩以上歩いて足の爪を2枚はがしてしまった。

 

円形のフレームに収まる金鱗湖の鯉が気に入って、何度も何度もここに行った。

良い位置に鯉を撮りたかったのだが、相手はこちらの要望には応えてくれず長い時間をここで過ごした。

由布院に鯉を撮りに行ったようなものだったが、残念ながらクライアントに金鱗湖写真は採用はされなかった。

自分で『採用」する写真をいつも撮っていると、ダイレクトに他人の目が見えてこないのだなあとも思う。

 

そのホテルが本日オープンするらしい。

長く繁盛して欲しい。

フィルムカメラでモノクローム(四角形)を、デジタルカメラでカラー(円形)を撮った。

色彩の有無、さらにフォーマットの違う二台のカメラを持つと風景を見る目が定まらない。

肉眼ではなく、写真の色をイメージし、カメラのファインダー越しの風景を見ようとしているからだろう。

機材はシンプルがよい。

そんなこともあって、、後半はどちらかのカメラだけで撮影することにした。

由布院で撮った壁面。

しかし、どこにでもある光景だ。

 

由布岳も撮った。

まるで観光写真みたいになったが、今見ると現場での朝の空気がよみがえる。

2023/06/08


収差が原因でぐるぐるボケが生じることがある。

古い大口径レンズなどで発生することが多いようだ。

これを珍重するような写真の楽しみ方があって、例に漏れず自分もその一人だ。

Daguerreotype Achromat 2.9/64というレンズをたまに使うが、撮るもの全てがこのように写るのではなく、被写体までの距離や絞りの状態で現れる。

このボケのために失敗することもあるし、思いがけず味わい深い写真になったりもしてそれが面白い。

当然、写真を仕事にする人には危険なレンズなので、本気で使う人はいないだろう。

レンズのボケは肉眼での見え方とは違う。

人の目と違う眼で対象をとらえる・・・それが写真の面白さの一つだと思う。

カメラがなかったら見ることができない世界をレンズを通して知ることができるから。

2023/06/01