古いものを扱う雑貨店で買った。

 

KRK 理科學製品

教材用、光學レンズ

寫眞機

東京 京都 大阪

理科學研究所

 

と書かれた袋に入っている。

漢字の形から推測すると、おそらく昭和初期ではなかろうか。

古雑誌の1ページを包装紙として使うあたりに時代を感じる。

 

中には鏡が一枚と、すりガラス一枚、そして小さなレンズという3点セットが入っていた。

最初なんのセットなのか分からなかったが、おそらく一眼レフカメラの構造を知るキットの部品ではなかろうかと思う。

 

一眼レフカメラにはミラーが付いている。

シャッターを押すと自動的にミラーが跳ね上がる仕組みになっているのだが、教材でそこまでの再現は難しい。

どうも、カメラを作る・・・というような高度な教材ではなさそうだ。

しかし、原理は知ることができる。

15世紀に考案された、小さな穴やレンズを通る光を映しだしそれをなぞる装置、カメラ・オブスキュラは、この三点セットで体験できる。

 

1839年にフランスのフランスのルイ・ジャック・マンデ・ダゲールが銀板写真を発表した。

それをダゲレオタイプカメラと呼ぶが、様々な研究の結果一眼レフカメラへと開発が進む。

1948年にペンタプリズムを用いた最初の一眼レフカメラ「カメラコンタックスS」がドイツで生まれた。

その後日本でも1952年に旭光学工業が日本最初の一眼レフ「アサヒフレックス」を発売している。

当時、新しい写真機の話題が取り沙汰され、このような教材が生まれたのだろう。

 

3点セットのこのレンズは一枚構成レンズである。

おそらく多くの収差を内包しているはずだ。

これを鏡胴に取り付け改造レンズを作る欲求にかられる。

ベス単レンズのような写りになるのではないか・・・と期待がふくらむ。

2024/01/28


記事写真の拡大
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記者に悪意はないと思うが、面白半分はあるように思う。

2024/01/22


作品は文字のように自分の考えを伝えるものではなく、思考の痕跡なのだ。

現代美術という言葉が生まれて長い時間が経った。

現代美術の「現代」とは「いま」の時代ことであって、過去でも未来でもない。

痕跡は解釈を必要とする。

まず、作品ありきである。

解釈はあとからやってきて、現代を知るのである。

その意味で、作品制作は常にアバンギャルドでなければならない。

2024/01/21


砥石の平面性を保つには、研いだあとのメンテナンス(面直し)が必要なのだ。
砥石の平面性を保つには、研いだあとのメンテナンス(面直し)が必要なのだ。

 

 

刃物を研ぐ前に、まず砥石を研磨しなければならない。

研ぎ面を完全な平面に直すのだ。

通常「面直し砥石」というものを使ってこれを行うのだが、長く使っているとすり減って 面直し砥石自体が平面ではなくなってくる。

きょうそのことが気になって確かめたら、果たして面が微妙に湾曲している。

それで面直し砥石の面直しをすることになった。

 

面直し砥石の面直しには、コンクリートブロックを使った。

金剛砂を撒いたブロックの広い面積を使ってしばらく擦ると、元の平坦な面が戻る。

 

コンクリートブロックは、研ぎ道楽を始めた頃、砥石の研磨によく使った。

使っているうちに、コンクリートのザラザラな表面がピカピカ・・・とは言わないまでも、かなりつややかな面になっていて、砥石の面直しにも最適だと僕は思っている。

ただ、重いので最近は専用の「面直し砥石」を使っているだけだ。

 

このように、研ぎにはいつも平面性が求められる。

そこで、ふとコンクリートブロックの平面性が気になり金尺を当てて確かめたら、なんと中央部がわずかに凹んでいるではないか・・・。

これではいかんということで、今度はコンクリートブロックの面直しにとりかかる。

 

ブロックの面直しは、同じ大きさのブロックを二個摺合せることにした。

ガリガリという音とともに、面が削れる。

つややかなブロックの表面が、少しザラザラになりながら平面性を取り戻してくる。

このように、面直し砥石を面直しするための面直しブロックが完成するのだ。

刃物を研ぐのには、このように入念な下準備が要るのである。

2024/01/04

 

 

面直ししたコンクリートブロック表面の接写
面直ししたコンクリートブロック表面の接写

今日、新たに砥石が届いた。

自然石・・・いわゆる天然砥石だ。

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山地 京都産 東山

長さ  205

幅             75

厚み        30

比重         2,6

砥石の分類   超仕上げ砥石

硬さ    軟質

仕上がり状態 鏡面やや曇り

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という商品説明があって、思わず購入したのだ。

早速試し研ぎをしてみたら、すこぶる硬い。

説明には「硬さ 軟質」 とあるが、そうかなあ。

形状が、なんかホンマに天然やわって感じ。

子供の頃、よく野生の山桃をちぎって食べたが、あんなふうにガリガリと甘くもなく抵抗感のある歯ごたえだ。

で、研ぎあがりはなかなか良い。

爪に刃先を当てるとカチッと定まり、食い込む感じだ。

研ぎ感は良いとは言えないが、研ぎ上がりは良い。

「超仕上げ」という部分が引っかかるが、仕上げ砥石であることは間違いない。

2024/01/02


林檎の皮をむいて空気中にさらすと褐色に変色してくる。

これは、褐変(かっぺん)といわれる現象で、りんごの果肉に含まれるポリフェノール類の成分(タンニン、クロロゲン酸など)が、皮をむいたり切断すると、断面が空気に触れることによって酸化が促進され変化を続け、最後に褐色の物質に変化するのだという。

 

ここに「切れない包丁」と「切れる包丁」があって林檎を切り比べると、よく切れる包丁の方は褐変が少ない。

また、鋭く切れる包丁で切った野菜は煮崩れしにくいようだ。

包丁の切れ具合が料理に影響するのだと言われる所以だ。

 僕の場合は、料理のために包丁を研いでいるわけでも無く、単によく切れる刃物を味わいたいから・・・と言う純粋な理由だ。

よく切れるのは気持ちが良いから。

 

 そんな事情があって、一般社団法人 日本包丁研ぎ協会が監修する「包丁・砥石の選び方 使い方 育て方/柴田書店」という本を購入した。

そこで、日本包丁研ぎ協会(http://togi-japan.com/about/)という存在も初めて知った。

研ぐ、ということに溢れる愛を持った人々が集まる道場のような響きだ。

なんといっても 日本 包丁研ぎ 協会 なのだ。

 

 書名の項目「選び方」「使い方」まではいいとしよう。

「育て方」となると愛なくしては取り組めない。

単によく切れたらいいというのではなく、その刃物を育てていく情熱が要る。その情熱が自然と湧いてこない輩はこの本を軽々しく手にとるべきできない。

そういう敷居の高さを感じながらもメルカリでポチってしまった。

まだ届かない。

 

 道具は使い込むうちに美しくなっていく。

これは不思議な現象だ。

新しければ良いという価値観とは方向が異なる。

道具に限らず愛おしく接するものはいずれ光を放つのだろう。

 

 古くから日本では、包丁やハサミなどの刃物は「災いを断ち、明るい未来を切り開く」縁起物として考えられている。

新年を迎えるにあたって、刃物の力で災いを断ち、明るい未来を切り開きたいものだ。

そのためには、よく切れる刃物を育てなければならない。

2024/01/01