[人物が写る]

 

同じ場所を何度も撮る。

以前撮ったことを忘れるのではなくて、飽きることなくフレーム越しに愛でるのだ。

 

1990年前後に「パノラマカメラ」が流行ったことがある。

パノラマといっても普通の35ミリフィルムの上下を切り取り、細長い比率で写るように工夫した 安直な構造のカメラのことだ。

ミノルタのP’s(ピーズ)というコンパクトカメラがあって、これはMINOLTA LENS 24mm F4.5がついたパノラマ撮影専用機だった。

このカメラを縦位置に構え撮影している。

 

ここに2枚の写真がある。

人物のあるヤツとないヤツ・・・。

通行人が通り過ぎる瞬間に思わずシャッターを切ったが、プリントしてみたら気持ちが悪い。

歩く人が勝手に要らんことをしゃべっている。

他人のおしゃべりは楽しいこともあるが、耳障りな時もある。

 

しかし、作品展示という点ではあんがい必要な気もしている。

いつか大量の写真を並べてみたいが、その中に しれっと これを紛れ込ませたい。

二点隣り合わせで並べるのではなく、無関係を装って離れた場所に配置するのだ。

2022/06/29


日下部一司 展

2022年7月2日[土]-7月16日[土]

13時-18時
[休廊日/日曜日-水曜日]
Marie Gallery
 

Marie Gallery 

〒103-0007 東京都中央区日本橋浜町三丁目 33-7 1F
Tel & Fax:03-6321-3442
E-mail:info@mariegallery.com

 

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[風景を愛でる]

展示する作品はモノクロ写真に油絵の具で着彩している。

「雑巾がけ」という技法だ。

 

油絵の具と写真と言えば、明治期の写真家 横山松三郎を思い起こす。

横山は印画紙を薄く剥ぎ、裏から油絵の具を擦り込み表面に現れる色彩でカラー写真のような作品を作った。

この技法は「写真油絵」と呼ばれている。

 

それとは逆に写真の表面から着彩する方法もあった。

それを「雑巾がけ」という。

「雑巾がけ」はもともとは海外からレタッチの方法として伝わった修正技術を、当時(大正期)のアマチュアカメラマンたちが表現に用いそれぞれ趣の違う個性的な作品を産んだ。

 

修正のためのこの技術を表現に用い進化させたのは日本人だけだったようで、日本独自の技法だと言われている。

当時はこの技法に正式名称はなかったようだが、今日では「雑巾がけ」と言う正式名称で呼ばれている。 

バライタ紙に印画された写真の表面に、布を使って油絵の具を塗る様子が「雑巾がけ」に似ていることからいつのまにか「雑巾がけ」という技法名になってしまったようだ。

カタカナの技法名にはならなかった。

それで良かった。

愛嬌がある。

 

展覧会には「風景を愛でる」というサブタイトルを付けた。

正確には「ファインダー越しの風景を愛でる」だが、長いから「風景を愛でる」にした。カメラのファインダーは矩形である。

矩形で対象を切り取る装置・・・カメラを使って風景を見ることが今回の作品の重要な点だ。

風景を眺めるのではなく、矩形の中の風景を愛でるのだ。

2022/06/27


 

[写真の重力]

 

ツバメの季節だ。

見上げたら立派な巣があった。

写真に撮ってみると、地面スレスレの位置にあるように見える。

錯覚だ。

写真画面の下方に重力が働くという思い込みのせいだろうか。

2022/06/22


 

[かたち]

 

ツバメの季節だ。

段ボールを広げて受け止めてあった。

井田照一ジャクソン・ポロックを思い出した。

失礼をお許しください・・・。

 

若い人には伝わらないかもしれない。

ジェネレーションギャップを測る素材のようにも思える。

2022/06/18


 

[道]

 

道路脇の構造物に近辺の地図が印刷されている。

その表面に亀裂が入って、異次元の道路がここに存在するように見えた。

支持体表面の硬化が原因だろう。

地図の上の亀裂はそのイメージを引きずって、単なる「ひび」ではなくなる。

ただの偶然が表現に似たものを醸し出すこともあるな・・・。

目を閉じて指で触ると、この異次元の道路しか感じることができない。

2022/06/15


 

[移植]

 

iPhoneのカメラにゴミが写るようになって気持ち悪かった。

カメラ好きの僕には耐えられない。

そんなこともあって、心斎橋のアップルに予約して修理に行ってきた。

新機種へのセールスもあったが、断ってカメラの部品取り換えにすることにした。

40分程で部品交換ができた。

修理コーナーは、さながら大学病院の待合室みたいで・・・今日は臓器移植をしたことになる。

データの損失が心配だったけれど、ちゃんと交換ができた。

9020円。

高いのか・・・安いのかがわからない。

修理しなくても使えるものだったけれど、写る写真すべてに丸い斑点があるのが気に入らなかった。

これで良かったと納得しようとしている。

新品カメラ一台(要するにそういうことだ)が 9020円。

それなら安い・・・。

2022/06/13


[8年ぶり]

 

  来月、Marie Gallery で2回目の個展をすることになった。

 2014年に最初の展覧会をしたので8年ぶりだ。

 その時も写真展だったが、今回も写真の展覧会の予定だ。

 淡々と風景を眺めるような展示にしたい。

 2022/06/04

 

 

日下部一司 展

2022年7月2日[土]-7月16日[土]

13時-18時

[休廊日/日曜日-水曜日]

Marie Gallery

 

Marie Gallery

〒103-0007 東京都中央区日本橋浜町三丁目 33-7 1F

Tel & Fax:03-6321-3442

 


[ヒッパラー]

 

絹布を引っ張って木枠に張るための道具。

シルクスクリーンで使用するものです。

その名もヒッパラー・・・。

ネット検索したら写真入りで堂々と出てくる。

「ヒッパラー」は正式名称だ。

Amazonで20,570円。

 

検索して確かめたとき、新たな「ヒッパラー」も知った。

レバーブロックとも呼ばれ、荷締め機として現場で使う作業道具のようだ。

こちらは27,250円。

 

2022/06/02


 

[同じ場所]

 

「ぞうきん掛け」による小さな写真を制作している。

来年1月にまとまった点数の写真作品が必要で、そのため最近はもっぱらフィルムカメラを持ち歩く。

デジタルカメラを使わなくなってもう一年は過ぎたと思う。

デジタルが恋しくなって、先日久々に丸く写るデジカメで近所を散歩した。

この場所は何百回と撮ったと思う。

 

ここに限らず、同じ場所を何度も撮っている。

数年前・十数年前にも同じ場所を同じように撮っているのだ。

そのことは承知しているが、たびたび同じ場所の写真が目の前に現れると、そのしつこさに自分ながら笑える。

風景を愛でる、とはそういうことさ。

 

2022/06/01